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宝塚『激情』はなぜホセの物語?2023年花組のメリメ/ガルシア役から、もう一歩楽しもう

激情のホセの物語を本とバラで表したイラスト 宝塚

『カルメン』は知っているけれど、宝塚の『激情』はどんな作品?永久輝せあさんと星空美咲さんの映像を見たいものの、役名が多くて人物関係がまだつかめない方へ。

最初の手がかりは、副題の「ホセとカルメン」。そして、配役表に原作者プロスペル・メリメの名前があることです。恋する二人だけでなく、その人生を語る人物も舞台に登場します。

今回は2023年花組全国ツアーを中心に、ホセの選択、メリメとガルシアの二役、再演の年を図で整理します。過去の公演にも興味が出てきた20〜40代の映像ファンが、次に何を見るか決めるための入門です。

要点

『激情』はメリメの小説「カルメン」をモチーフに、ホセの人生を描くミュージカル。2023年花組では凪七瑠海がメリメ/ガルシアを担当しています。

カルメンが題材。でも追いかけるのはホセの人生

『激情』の脚本は柴田侑宏、演出・振付は謝珠栄。1999年に宙組で初演され、2023年には花組が全国ツアーで上演しました。

公式の作品紹介が中心に置くのは、自由に生きるカルメンに惹かれたドン・ホセが、愛をきっかけに人生を変えていく過程です。原作の題名が女性の名前でも、宝塚の作品ではホセを主人公として追います。

原作「カルメン」をモチーフに、ホセの人生を描く『激情』。作品名と見る人物の視点を分ける図。
原作「カルメン」をモチーフに、ホセの人生を描く『激情』。作品名と見る人物の視点を分ける図。

あらすじは「出会ったあと、何を選ぶか」で見るとつながる

ホセは軍人です。祭りでカルメンと出会い、彼女を連行するよう命じられますが、逃がしてしまいます。そのため罰を受ける一方、彼女との関わりは深まっていきます。

公式の番組解説では、営倉に入れられたホセにカルメンが脱走を持ちかけても、ホセは軍人としての誇りから断ると説明されています。恋に落ちた瞬間に、すべてを投げ出すわけではないのです。

ここを覚えておくと、その後の選択をただの出来事の連続にせず、「守りたかったものが、どこで変わるのか」と追えます。先に結末まで覚えるより、初めの軍人としての立場を押さえてみてください。

原作者メリメも登場する!恋の外側から語る人がいる

2023年の番組紹介では、フランスの小説家メリメが、スペインで出会ったホセについて語り始めると案内されています。物語の中の人物と、その人生を語る人物が重なる構成です。

ホセ、カルメン、原作者メリメ。人物の名前に立場を一言添えて読むための整理図。
ホセ、カルメン、原作者メリメ。人物の名前に立場を一言添えて読むための整理図。

メリメが出てくるからといって、実在の作家が舞台と同じ出来事を経験したという意味ではありません。これは原作者を登場人物に取り込んだ、作品の語り方として楽しみたいところです。

「誰の話を、誰が伝えている?」が分かると迷いにくい

ホセとカルメンの場面では、目の前の人物が何を求めるかを見ます。メリメが語る場面では、ホセの人生がどんな話として伝えられるかを見ます。

二つを分けると、役名が一つ増えたことが負担ではなく、物語を理解する助けになります。「今は恋の中にいる人なのか、外側から語る人なのか」と一度確認するだけでも、台詞の相手を追いやすくなります。

凪七瑠海さんの欄は二役。メリメとガルシアを分けよう

2023年の公式配役表には、「プロスペル・メリメ/ガルシア 凪七瑠海」と記載されています。一人の俳優が、二つの登場人物を担当する配役です。

ガルシアはカルメンの夫。作家であるメリメと違い、ホセとカルメンの関係に直接関わる人物です。「凪七さんが出ている」という見方に、役名をもう一つ添えると、物語での立場を取り違えにくくなります。

2023年花組のメリメ/ガルシア役を整理。衣裳の再現ではなく、二つの立場を示すイラストです。
2023年花組のメリメ/ガルシア役を整理。衣裳の再現ではなく、二つの立場を示すイラストです。
役2023年花組の担当まず押さえる立場
ドン・ホセ永久輝せあカルメンに惹かれる軍人
カルメン星空美咲自由に生きる女性
プロスペル・メリメ凪七瑠海ホセの人生を語る作家
ガルシア凪七瑠海カルメンの夫

ほかの役も、まずは名前と出演者の組を確認してみて

2023年花組のエスカミリオは綺城ひか理さん、ミカエラは咲乃深音さん。スニーガは紫門ゆりやさん、カルメンの仲間であるダンカイレは帆純まひろさん、レメンダートは一之瀬航季さんです。

全部を一度に暗記する必要はありません。映像で気になった人がいたとき、役名に戻って探せるようにしておけば大丈夫です。俳優の名前だけのメモより、「役名=名前」のほうが別公演と比べるときにも役立ちます。

再演の年と組を並べると、映像選びがぐっと楽になる

『激情』は1999年宙組で初演され、2010年星組、2016年月組、2023年花組の全国ツアーへとつながっています。初演は第54回文化庁芸術祭演劇部門優秀賞を受賞しました。

初演から2023年花組までの上演年と組。全国ツアーの地図は、上演形式を示すイメージです。
初演から2023年花組までの上演年と組。全国ツアーの地図は、上演形式を示すイメージです。

2010年の公式解説では、初演に姿月あさとさん、花總まりさん、和央ようかさんらが出演したこと、全国ツアー版として新たな演出を盛り込んだことも案内されています。

ただし「新たな演出」と書いてあるだけでは、どの場面の動きや台詞がどう変わったかまでは分かりません。配役の違いと、演出の違いを同じ話にしないようにしましょう。

凪七さんのメリメを、2016年と2023年でつなげてみる

2016年月組の公式番組紹介でも、メリメを凪七瑠海さんが担当しています。そのときのホセは珠城りょうさん、カルメンは愛希れいかさん。2023年花組ではホセが永久輝さん、カルメンが星空さんです。

同じ人物を同じ俳優が演じても、向き合うホセと公演の組は変わります。再演を比べる入口を「主演の違い」だけにせず、語り手の配役から探せるのも、この作品の面白いところです。

二つの映像を見る機会があれば、まずメリメがホセについて語る場面を選び、役名と会話の相手をメモしてみてください。演技の印象は、ご自身が見た範囲で残すと、後から比較しやすくなります。

公式の短い映像で、ホセとカルメンを確かめよう

こちらは、2023年花組全国ツアー版『激情』の公式サンプルムービーです。作品全体の入口として、まず役名と出演者を確認してから見てみてください。

2023年花組のホセとカルメン。年・組・役名をセットにして、別公演と混同しないための図。
2023年花組のホセとカルメン。年・組・役名をセットにして、別公演と混同しないための図。

短い映像は、公演全編ではありません。画面に出た場面から好きな声や人物を見つけたら、次は収録公演の情報を確かめる。その順番なら、知らない作品でも一歩ずつ興味を広げられます。

次の公式動画は、同じ2023年花組『激情』の一場面を紹介する「STAGE Pick Up」のサンプルです。最初の動画とは紹介の単位が違うので、気になる場面をもう少し見る入口にどうぞ。

『GRAND MIRAGE!』は、お芝居の続編ではありません

2023年全国ツアーでは、『激情』とレビュー『GRAND MIRAGE!』が組み合わせて上演されました。後者の作・演出は岡田敬二です。

レビューは歌やダンスの場面を楽しむ作品。『GRAND MIRAGE!』の紹介では、カンツォーネの名曲を用いる場面や、花組のダンスを見せる場面が案内されています。

『激情』のお芝居と、『GRAND MIRAGE!』のレビューを分けて読むための作品整理図。
『激情』のお芝居と、『GRAND MIRAGE!』のレビューを分けて読むための作品整理図。

商品名や番組名に二作品が並んでいても、ホセとカルメンの物語が後半へ続くという意味ではありません。映像の案内では、作品ごとの収録内容も見てください。

見終わったら、ホセの「選んだこと」を一つ残そう

相関図を覚えたあとに見るなら、「ホセは何を望んだか」「相手はどう応じたか」「その選択で何が変わったか」の三つを入口にしてみませんか。

登場人物の望みと選択を、場面ごとにメモする見方。
登場人物の望みと選択を、場面ごとにメモする見方。
おまめ
私は「誰が好きか」から見始めて、あとで「その役は何を選んだか」に戻るのが楽しいと思います。『激情』なら、ホセとメリメを分けて見るだけで、あらすじの輪郭がぐっとつかみやすくなります。

初めての一本では、まず2023年花組の役名を確かめる。もっと見たくなったら、過去の上演年と組へ戻る。この二段階なら、情報に圧倒されずに再演の楽しみへ進めます。

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