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カローラのハイメカツインカムは何が違う?2本のカムを歯車で回した理由

車

「ツインカム」と聞くと、スポーツカーの高回転エンジンを思い浮かべる人もいるでしょう。ところが1987年のカローラには、普段の買い物や通勤に使う1.5L車にも「ハイメカツインカム」が載っていました。

なぜ普通のセダンにも、カムシャフトが2本必要だったのでしょう。答えは、吸気と排気をそれぞれ動かす2本のカムを、コンパクトな燃焼室と組み合わせるため。1987年のトヨタ公式資料を手がかりに、部品の働きから追ってみましょう。

この記事で分かること

  • カムシャフトがバルブを開ける仕組み
  • 1987年の5A-F・5A-FEで採用されたカム間ギヤ駆動
  • スポーティツインカムや、カムが1本の方式との違い

まず、エンジンの上にあるカムは何をしている?

ガソリンエンジンは、空気と燃料を取り込み、燃やして力に変え、燃えた後のガスを外へ出します。出入り口を開閉するのが、吸気バルブと排気バルブです。

バルブは好きな瞬間に開けばよいわけではありません。ピストンの動きに合わせ、空気を入れるとき、燃焼室を閉じるとき、排気を出すときに、適切な順序で動く必要があります。

その開閉のタイミングを作る部品がカムシャフトです。軸には、丸から少し出っ張った「カム」が並びます。軸が回り、出っ張りがバルブ側を押すとバルブが開き、出っ張りが離れるとばねの力で閉じます。実際には間に別の部品が入る方式もありますが、まずは回転を上下の動きに変える部品と覚えてください。

カムシャフトとバルブの一般的な形を表したイメージ
当サイト制作(生成AI使用)。一般的な部品イメージで、実車の構造の再現ではありません。参考:トヨタの発売資料

一本と二本、何が変わる?

シングルカムは、1本のカムシャフトで吸気と排気の両方を動かす方式です。ツインカムは、吸気用と排気用にそれぞれカムシャフトを持ちます。呼び方は「頭上にあるカムが何本か」を示しており、それだけで排気量や馬力が決まるわけではありません。

「2本なら必ず4バルブ」とも限りません。カムの本数と、1気筒にあるバルブの本数は別の話です。今回取り上げる1987年の5A-F・5A-FEは、トヨタがツインカム4バルブとして紹介しています。

ちなみに1987年のカローラには1.3Lの2E型3バルブもありました。当時の資料が「ガソリンエンジンをすべてマルチバルブ化」と書いていても、全車がツインカム4バルブだったという意味ではありません。

カムの本数とバルブの数は別々に数えると、カタログの表記が読みやすくなります。

1987年、カローラに加わった5A-Fと5A-FE

1987年5月にフルモデルチェンジした6代目カローラ/スプリンター。トヨタは新しい1.5Lエンジンとして、5A-F型と5A-FE型を発表しました。どちらも「ハイメカツインカム」の4バルブエンジンです。

同じ発表資料には、1.6Lの4A-GE、スーパーチャージャー付きの4A-GZE、そして1.3Lの2Eも登場します。資料を読むときは、車名だけでなくエンジンの型式を見るのが近道。カローラという名前だけでは、載っているエンジンは一つに決まりません。

1987年発売資料に載るガソリンエンジンの例
型式 資料に記された特徴 読み分けるポイント
5A-F/5A-FE 1.5L ハイメカツインカム4バルブ 普段使いの車にも採用された新開発系列
4A-GE 1.6L ツインカム 5A系とは別の型式
4A-GZE 1.6L スーパーチャージャー付きツインカム 過給機付き
2E 1.3L 3バルブ 4バルブとは異なる

この表は1987年発売時の資料を整理したものです。すべての年式、輸出仕様、グレードについての一覧ではありません。中古車や部品の確認には、その車の年式・型式を別途照合してください。

二本のカムシャフトと歯車の概念イラスト
当サイト制作(生成AI使用)。一般的な構造のイメージで、5A型の実機形状を再現した図ではありません。参考:トヨタの発売資料

二本のカムを、どうやって回していた?

カムシャフトはクランクシャフトの動きと同期する必要があります。回転の位置がずれると、ピストンとバルブの動作が合わなくなるためです。

1987年のトヨタ資料は、5A-Fと5A-FEについて、カムシャフト同士をギヤで駆動する方式を特徴に挙げています。片方のカムから歯車を介し、もう片方のカムへ回転を伝える考え方です。

二本のカムがあるからといって、クランク側からそれぞれに独立したベルトが一本ずつ必要、というわけではありません。「軸の数」と「回す経路」を分けて考えると、仕組みが見えてきます。

シザーズギヤって何?

トヨタはカムシャフト間に「シザーズギヤ」を採用したと記しています。歯車をかみ合わせるにはわずかなすき間が必要ですが、回転中に歯がそのすき間を行き来すると、打ち合う音が出ることがあります。このすき間をバックラッシュと呼びます。

シザーズギヤは、そのすき間によるギヤ騒音を抑えるための工夫です。トヨタは1987年の発表資料で、バックラッシュによる騒音低減を目的として挙げています。

ギヤの静音化と、エンジン全体が必ず無音になることは別です。 実際に聞こえる音は、他の部品、回転数、整備状態などにも左右されます。

ハイメカの「カムが近い」は、何のため?

トヨタは5A系の特徴として、バルブが作る角度を小さくしたコンパクトな燃焼室も挙げています。燃焼室は、ピストンの上で混合気を燃やす空間。バルブの配置は、その形を考えるときに重要です。

ここでいう「バルブ挟角」は、吸気バルブと排気バルブが開閉する軸のなす角度です。横から見たときのバルブの傾きの関係であって、二本のカムが何度回るかを示す数値ではありません。

吸気側と排気側の配置をコンパクトにしながら、それぞれのバルブを二本のカムで動かす。そのためにカム同士の駆動にも工夫をした、と流れで見ると「ハイメカツインカム」という名前の中身が見えます。

ただし、今回確認した発売資料は、実車の寸法をすべて示す整備書ではありません。断面図を描く際に、歯数、歯車の正確な形、シャフト間隔を推測で書き足さないようにします。

スポーティツインカムとは、二本のカムの役目が違う?

どちらも吸気と排気のバルブを開閉する基本は同じです。1987年のトヨタは、5A系をハイメカツインカム、4A-G系をスポーティツインカムとして別々に紹介しています。

違いを考えるときは「ツインカムかどうか」で止めず、燃焼室、バルブの配置、吸気系、過給の有無など、その型式の設計全体を見ます。4A-GZEにはスーパーチャージャーが付いていますが、5A系に付いているわけではありません。

二本の軸を備えたから必ず高回転向け、あるいは一方が常に優秀、という単純な分類もできません。使い方に合わせて異なる設計があったからこそ、同じカローラの名前の中に複数のエンジンが並んだのです。

名前が似ていても、5A系と4A-G系は別の型式。まず車の年式と型式から確かめましょう。

カタログを見るときは、ここを分けて読む

昔のカタログで「ツインカム」「16バルブ」「EFI」と続けて書かれていると、一つの仕組みの別名に見えるかもしれません。でも、それぞれ答えている問いが違います。

  • ツインカム:頭上のカムシャフトは何本か。
  • 16バルブ:エンジン全体でバルブが何個あるか。
  • EFI:燃料をどのように供給するか。

例えば4気筒で各気筒に吸気2個・排気2個のバルブを持つなら、合計は16個です。一方、同じ16バルブという表記だけでは、カムの駆動方式や車のグレードまで特定できません。

まず車の発売年とエンジン型式を確認し、次にカム、バルブ、燃料供給を一つずつ読む。この順番なら、懐かしいエンブレムの意味も少し立体的に見えてきます。

今回参考にさせていただいた資料

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