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シティターボIIは、なぜあんなに膨らんだ?フェンダーとボンネットの中身を別々に見る

1983年シティターボIIをイメージした赤い小型車のオリジナルイラスト 車
イラスト:当サイト制作(生成AI使用)。参考:https://www.honda.co.jp/factbook/auto/CITY/19831026/ci83-010.html

小さくて背が高いのに、タイヤの周りは大きく張り出し、ボンネットにも立派なふくらみ。1983年のシティターボIIは、普通のシティとはひと目で違う姿をしています。

横に広がるフェンダーは強化された足回りやワイドタイヤを包み、上に盛り上がるバルジはインタークーラーやエアクリーナーを包むものです。同じ「ふくらみ」でも、中にあるものは別です。

ホンダが公開している1983年10月の発表資料から、外観の二か所と、吸い込む空気を冷やす部品を見てみましょう。対象は国内向け初代シティのターボIIです。

要点

フェンダーとバルジは何を包むのか/インタークーラーの内側と外側を通る二つの空気/「空冷式」でもエンジン自体は水冷であること

横のふくらみは、タイヤと足回りのため

タイヤの上にある、ダイナミック・フェンダー

フェンダーはタイヤの周りを覆う車体の部分です。ターボIIの公式資料は、強化した前後サスペンションとワイドタイヤを包む形として、ダイナミック・フェンダーを紹介しています。

ただ大きな飾りを付けた、という説明ではありません。足回りとタイヤを含む車の変更があり、それを覆う車体の幅も変わっています。外から見える形と、その内側の部品を対応させると、この車の個性が分かりやすくなります。

タイヤ周りのフェンダーとボンネット上のバルジを別々に見る車体イラスト
イラスト:当サイト制作(生成AI使用)。参考:メーカー・部品の一次資料。働きと位置関係を理解するための部品イメージで、実車の寸法・加工・整備を示す図面ではありません。

1983年の公式比較では、シティターボの全幅は1,570mm、ターボIIは1,625mm。差は55mmです。ターボIIには185/60R13、ターボには165/70HR12のタイヤが紹介されています。

1983年資料の掲載仕様の比較
1983年資料の掲載仕様シティターボシティターボII
排気量1,231cm³1,231cm³
全幅1,570mm1,625mm
掲載タイヤ165/70HR12185/60R13
最高出力(当時表記)100馬力110馬力

表は左右にスクロールできます。表の参考:Honda:ターボとターボIIの比較

ここでの55mmは車体全幅の差で、タイヤ一本の幅や、片側フェンダーの張り出し量ではありません。タイヤの数字とボディの数字は、同じ幅を測っているわけではないのですね。

車体全幅とトレッドを混ぜない

トレッドは左右の車輪の中心同士の間隔です。全幅は車体の横幅。フェンダーが大きく見えるときも、タイヤ幅・トレッド・車体全幅は分けて読みます。

タイヤの幅が増えた分だけ車体全幅も増える、と単純には計算できません。今回の比較は当時の掲載仕様同士のものなので、改造車のタイヤや現在の装着状態に、そのまま当てはめないでください。

車の解説アイコン
私は、この車を見るならまずタイヤの上の輪郭をたどってみたいです。写真では一つの迫力ある姿に見えても、足回りを覆う部分と、エンジン上の部分を分けると、形を見る楽しみが増しますね。

ボンネットの上には、別の中身がある

ボンネットを持ち上げて、部品を収める

バルジは盛り上がった部分を指す言葉です。ホンダは、ターボIIのビッグパワーバルジが空冷式インタークーラーや軽量化したエアクリーナーなどを包む、と説明しています。

エアクリーナーは吸い込む空気をきれいにするための部品、インタークーラーは圧縮した吸気を冷やす部品です。ボンネットのふくらみを見て「ここにターボ本体が飛び出している」と一つに決めるのは違います。

公式の写真では、ボンネットの一部が、閉じたまま持ち上がっている形を確認できます。部品を収めるために上方向へ場所をつくった、と見ると分かりやすいですね。

冷やしたいのは、ターボで熱くなった吸気

ターボチャージャーは、エンジンへ送る空気を圧縮する装置です。圧縮すると空気の温度も上がります。その空気を冷やしてからエンジンへ送る役割を持つのが、インタークーラーです。

内部の圧縮吸気と外側の冷却風を分けたインタークーラーの機能イラスト
イラスト:当サイト制作(生成AI使用)。参考:メーカー・部品の一次資料。働きと位置関係を理解するための部品イメージで、実車の寸法・加工・整備を示す図面ではありません。

部品を見ると、薄い金属が細かく重なった部分があります。フィンと呼ばれるもので、熱を外の空気へ渡しやすくするための形です。ターボIIの資料では、アルミ製のコアの中にさらにインナーフィンを設ける構造が紹介されています。

ここには二つの空気があります。一つは、ターボで圧縮されて内部を通り、最終的にエンジンへ入る空気。もう一つは、フィンの外側を通って熱を受け取る走行風です。二つが混ざって、そのまま燃焼室へ入るわけではありません。

「空冷式」なのに、シティのエンジンは水冷?

インタークーラーの冷やし方と、エンジンの冷却は別

ターボIIの「空冷式インタークーラー」は、エンジン自体が空冷という意味ではありません。当時の諸元では、ER型は水冷直列4気筒、1,231cm³のエンジンです。

インタークーラーは吸気を冷やします。一方、ラジエーターはエンジンの冷却水の熱を外へ逃がす部品です。同じように薄いフィンがあっても、内側を通るものと、冷やす相手が違います。

吸気を冷やすインタークーラーと冷却水を冷やすラジエーターの役割の比較
イラスト:当サイト制作(生成AI使用)。参考:メーカー・部品の一次資料。働きと位置関係を理解するための部品イメージで、実車の寸法・加工・整備を示す図面ではありません。 一般的な熱交換器の役割の比較で、シティ純正部品の形や搭載位置の再現ではありません。

「空冷」という言葉がどの部品に掛かっているかを見ると、混乱を減らせます。車全体を一言で空冷か水冷かに分ける前に、今回は吸気なのか、エンジンの冷却水なのかを確かめましょう。

冷やすと、何がうれしいのでしょう

空気を冷やすと、同じ体積に入る空気の密度を高められます。ホンダの資料は、吸気の充填効率を高めることに加え、吸気温度を下げることでノッキングを起こしにくくする効果を説明しています。

ノッキングは、燃焼が狙いどおりに進まない異常燃焼の一つです。たくさん空気を送ればよい、過給圧を高くすればよい、だけではなく、温度や燃焼の条件も整える必要があります。

当時の資料には45℃冷却するという説明もあります。ただし、これはメーカーが当時の技術紹介で示した数値で、現在のどんな気温や速度でも一律に45℃下がるという保証ではありません。この記事の図も、温度を実測したものではなく、二つの空気の役割を示しています。

排気量は同じでも、変わったのは冷却器だけではない

1983年の資料で比較すると、ターボとターボIIはどちらも1,231cm³ですが、最高出力の掲載値は100馬力と110馬力です。ここから「インタークーラーを付ければ、それだけで必ず10馬力増える」とは読めません。

ターボIIでは、燃焼室や吸排気、過給圧制御なども見直されています。過給圧を検出し、目標値と比較しながらウェストゲート側を制御する仕組みも、公式資料の独立した項目として紹介されています。

冷やす部品だけを大きく取り上げても、エンジン全体の変更を代表させないことが大切です。部品の一つ一つには役目があり、組み合わせて使われています。

注意

当時の馬力・燃費は、当時の表示と測定方法によるものです。現代のネット出力や燃費表示と条件を揃えず比べたり、掲載値を現在の中古車の性能保証に使ったりはできません。過給圧の変更や整備手順を案内する記事でもありません。

車の解説アイコン
私は、110馬力という数字の前に、何をどう変えたのかを見たいです。外観のふくらみから吸気の温度や制御へ話がつながるところに、この小さな車の面白さがあります。

次に写真を見るなら、横と上を別々に

側面では、タイヤとフェンダー。前方からは、ボンネットのバルジ。さらに技術資料を開いたら、吸気を冷やすコアと、フィンの外を通る風を見る。この順番なら、外観と機構の話を結び付けられます。

シティターボIIは、1983年10月26日に発表され、11月10日発売と案内されました。1982年のシティターボと比べるときは、同じ名前の末尾にある「II」まで確認してください。

大きくなった部分を全部ひとまとめにせず、何を包み、何を冷やすのかを分ける。そうして眺めると、独特の姿にも具体的な理由が見えてきます。

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