2018年雪組『凱旋門』の配役を開くと、ラヴィックは轟悠さん、友人のボリスは望海風斗さん。初めてこの公演に触れると、芝居とショーで主演の顔ぶれが違うことにも目が留まります。
実は、初演と同じラヴィックが戻ってきただけの再演ではありません。演出・振付の謝珠栄さんは、望海さんが演じるボリスの役を広げることを、2018年再演の大きな変更点として挙げていました。
この記事で分かること
ラヴィック・ボリス・ジョアンの関係/ボリスのために公表された脚本と歌の変更/専科の出演範囲と、二本立てを楽しむ見方。
パリに流れ着いた二人。ボリスはラヴィックを助ける友人です
物語の舞台は、第二次世界大戦前夜のパリ。ドイツから亡命した外科医ラヴィックは、過去の仇敵を捜しながら、失意のうちに暮らしています。そんな彼を支えるのがボリスです。
謝さんのインタビューによると、ボリスはもとは貴族で、ロシア革命の際にパリへ逃れてきた人物。ラヴィックと同じく祖国を離れていますが、そこへ至るまでの人生は違います。

ジョアンとの恋が、ラヴィックに生きる希望をもたらす
真彩希帆さんが演じるジョアンは、ラヴィックが恋に落ちる女性です。公式の作品紹介は、この恋を軸に、過酷な時代を生きる人々を描く物語と説明しています。
恋愛だけを切り離すより、ラヴィックが祖国を追われ、友人の助けを借りながら暮らしていることを知ると、ジョアンとの出会いが彼にとってどれほど大きいかを考えやすくなります。
原作はエリッヒ・マリア・レマルクの小説。脚本を柴田侑宏さん、演出・振付を謝珠栄さんが担当し、シャンソンをモチーフにした音楽が物語に重ねられています。
当サイト制作望海風斗さんのボリスに合わせ、脚本も歌も見直す計画でした
『凱旋門』の初演は2000年雪組で、ラヴィックは同じく轟悠さんが演じました。2018年は18年を経ての再演です。
謝さんは、今回ボリスを演じるのが雪組トップスターの望海さんであることを挙げ、ボリス役をふくらませるために柴田さんが脚本を書き換え、歌も増やす予定だと説明しています。

台詞では語らないところを、望海さんの歌声で
ボリスについて謝さんが掘り下げたいと語ったのは、軍人気質と、クールに見えて人間味のあるところ。さらに、台詞にない部分を望海さんの歌声で表してほしいという期待も述べています。
単に友人の出番を増やす、というだけではありません。話す言葉では表に出さない思いを、歌によって聴かせようとしたのですね。ボリスの歌を聴くとき、ラヴィックにどんな顔を見せているかも一緒に追ってみたくなります。
補足
ここで紹介している変更は、開幕前の演出家インタビューで公表された制作方針です。
当サイト制作パリの街を回す「盆」は、再演でも残したい工夫でした
舞台用語の「盆」は、舞台床に設けた回転する部分のことです。『凱旋門』の初演では、パリの街を表現するために、この盆を多用したと謝さんは振り返っています。
出演者から迷子になりそうと言われたほどだったそうですが、再演でもそこは変えずにいきたいという方針でした。街の見え方を変える仕掛けは残しつつ、セットと衣装は出演者に合わせて新しくし、音楽にも変更や追加を行うと説明しています。
古い作品を再演すると聞くと、昔の舞台をそのまま戻すようにも思えます。でも、この公演では、残したい舞台の工夫と、出演者に合わせて新しくする部分の両方があったのです。
休憩のあとは『Gato Bonito!!』。ボリスの物語は持ち越しません
この公演は芝居『凱旋門』とラテン・ショー『Gato Bonito!!』の二本立て。同じ物語の前編と後編ではなく、別々の作品です。公式の案内では、幕間休憩30分を含め、上演時間は約3時間とされています。

轟悠さんと美穂圭子さんは、芝居のみの出演です
配役表では、ラヴィックが轟悠さん、フランソワーズが美穂圭子さん。出演者一覧には、専科のこの二人は『凱旋門』のみ出演すると明記されています。
一方、『Gato Bonito!!』の作品紹介で主演として案内されているのは望海風斗さんと真彩希帆さんです。芝居とショーで出演者の範囲が違うのは、この公演について公式に示されていることです。
| 項目 | 凱旋門 | Gato Bonito!! |
|---|---|---|
| 作品 | ミュージカル・プレイ | ラテン・ショー |
| 演出 | 謝珠栄 | 藤井大介 |
| 公式掲載の主演 | 轟悠・望海風斗・真彩希帆 | 望海風斗・真彩希帆 |
| 専科の轟悠・美穂圭子 | 出演 | 出演なし |
表は左右にスクロールできます。
ショーが始まったら、望海さんをボリスの続きとして追う必要はありません。音楽に合わせた踊りや場面ごとの表情へ、気持ちを切り替えて楽しめます。
「美しい猫」は、身のこなしや気品のイメージ
『Gato Bonito』はポルトガル語で「美しい猫」。公式紹介では、猫のクールさや気まぐれな性質、しなやかな身のこなしを、雪組の出演者たちに重ねるショーと説明されています。
作・演出は藤井大介さん。彼のショー作りを紹介する公式記事では、出演者の一番よいところを引き出したいという考えが語られています。物語の役を演じる芝居のあとに、歌や踊りからスターの魅力に触れられるのも二本立ての楽しさですね。
当サイト制作新人公演の配役を調べるなら、隣の欄にも注目
2018年の新人公演では、ラヴィックを縣千さん、ボリスを綾凰華さん、ジョアンを潤花さんが演じています。本公演と同じ配役表に掲載されていますが、別の公演の欄です。
2000年の初演、2018年の本公演、2018年の新人公演。出演者を探すときは、年と公演の種類を一緒に見てください。特に昔の映像や番組紹介から興味を持ったときは、この二つが分かると、見たい出演者の公演へたどり着きやすくなります。


