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1986年スープラ、2リッターはツインターボで3リッターはターボ?直6二つの違い

1986年スープラと2リッターのターボ2基・3リッターの1基を比べる扉絵 車
イラスト:当サイト制作(AI使用)。外観とターボ数を示すイメージ。 参考:トヨタ・1986年スープラ発売資料

「大きいエンジンのほうに、ターボが二つ付いている」。1986年のスープラのカタログを開くと、その予想がひっくり返ります。

2リッターのGT TWIN TURBOには、名前の通りターボが二基。一方、3リッターの3.0GT TURBOはターボ一基です。どちらも直列6気筒ですが、エンジンの大きさと過給機の組み合わせが違いました。

なぜ同じスープラに二つのターボ車があったのでしょう。当時のトヨタの資料をたどりながら、「排気量」「ターボの数」「吸った空気を冷やす仕組み」を分けて見てみましょう。

この記事で分かること
  • 1986年発売の2.0 GT TWIN TURBOは1G-GTEU型の直6・1,988cc、ターボ二基。
  • 3.0GT TURBOは7M-GTEU型の直6・2,954cc、ターボ一基で最高出力230PS。
  • どちらも圧縮された吸入空気を冷やす空冷式インタークーラーを備える。

1986年、セリカから独立した名前で登場

1986年2月、トヨタは「スープラ」を国内で発売しました。リトラクタブルヘッドランプを備えた低い車体に、当時の資料が「高性能スペシャルティーカー」と呼ぶ性格を与えたモデルです。

資料には、3.0GT TURBO、2.0GT TWIN TURBOのほか、過給機のない2.0GTやG、Sも掲載されています。「70スープラなら全部ターボ」というわけではありません。ボディの写真だけでエンジンを決めつけず、グレード名を見るのが第一歩です。

トヨタが掲載する当時のラインアップには、2リッターのツインカム・ツインターボ1G-GTEU型、2リッターのツインカム1G-GEU型、2リッターの1G-EU型、3リッターターボの7M-GTEU型が並びます。ここでは発売直後の二つのターボエンジンに注目します。

スマートフォンでは表を左右に動かして読めます。

1986年発売時の仕様 2.0 GT TWIN TURBO 3.0GT TURBO
エンジン型式 1G-GTEU 7M-GTEU
配列 直列6気筒 直列6気筒
総排気量 1,988cc 2,954cc
過給機 二基 一基
インタークーラー 空冷式 空冷式
最高出力(ネット) 185PS/6,200rpm 230PS/5,600rpm

表はトヨタの1986年発売資料と75年史の車両系統図にある、国内向け発売時の仕様です。ターボの数は2リッターが多くても、最高出力は3リッターが45PS上回ります。過給機をいくつ付けたかだけでは、エンジン全体の性能を比べられないことが分かります。

直列6気筒の1G-GTEUと7M-GTEUの排気量とターボ数の比較
図解:当サイト制作(AI使用)。気筒と過給機の数を示す模式表現で、実機の寸法や接続の再現ではありません。 参考:トヨタ・エンジン仕様

ターボは、排気をもう一度エンジンへ戻す装置?

ターボチャージャーは、排気のエネルギーを利用して吸入空気を圧縮する装置です。排気が通る側のタービンと、外から取り込んだ空気を圧縮する側のコンプレッサーが、同じ軸でつながっています。

燃焼を終えた排気はタービン側を回して外へ出ます。その回転でコンプレッサーが動き、別の経路を通る新しい空気を圧縮する。排気と吸入空気は、ターボの中で混ぜ合わせるわけではありません。

より多くの空気をシリンダーへ送り、適切な量の燃料と組み合わせることで、同じ排気量でも大きな出力を得る助けになります。ただし、ターボを付ければどんなエンジンも同じ性能になるわけではありません。過給圧、燃焼、冷却、制御などを合わせて設計する必要があります。

同じ軸で結ばれた排気タービンとコンプレッサーの断面と別々のガス流路
図解:当サイト制作(AI使用)。ターボの基本原理を示す断面イメージ。スープラの実部品や配管の再現ではありません。 参考:Garrett・ターボの基本原理

インタークーラーは何を冷やしている?

空気は圧縮されると温度が上がります。そこでエンジンへ送る前に吸入空気を冷やすのがインタークーラーです。温度を下げれば、同じ圧力で比べたときに空気の密度を高める助けになります。

1986年のスープラ発売資料は、1G-GTEUと7M-GTEUの両方に空冷式インタークーラーが付くと説明しています。走行風などを使う熱交換器で吸入空気を冷やすという意味で、エンジン冷却水を冷やすラジエーターとは役割が異なります。

冷やす対象は、圧縮された吸入空気です。ターボ二基だから必ず冷却器も二つという意味ではありません。

エンジンルームを眺めるときも、熱い排気を通す管と、圧縮した吸入空気を冷却器へ送る管を分けて考えると、部品の役割を追いやすくなります。本文の図では、この二つの流れと、間をつなぐ回転軸に注目してください。

管内を通る吸入空気とフィン側を通る外気を分けたインタークーラーの模式図
図解:当サイト制作(AI使用)。吸入空気と外気の熱交換を説明する模式図で、スープラの実部品の内部構造や配管配置の再現ではありません。参考:Garrett Motion・ターボの基本原理

ツインターボは、いつも一基ずつ切り替わる?

「ツイン」とは二つの過給機を備えるということ。動かし方には複数の考え方があります。例えば二つを並べて使う設計もあれば、運転状態によって働き方を変える設計もあります。

大切なのは、ターボの数だけでは、配管や制御方式まで分からないことです。「二基ある」という部品の数の説明と、「どの運転状態でどう使う」という制御の説明を分けて読んでみましょう。

例えば、二基を順に働かせる方式の説明を読んだからといって、別のツインターボ車も同じとは限りません。中古車の紹介に「ツインターボ」とだけ書かれていたら、まずエンジン型式と年式を見て、どの仕組みの話なのかを確かめてください。

直列6気筒とは、どういう並び?

直列6気筒は、シリンダーが一列に六つ並ぶエンジンです。各シリンダーの中でピストンが動き、燃焼の力がクランクシャフトに伝わります。六つの燃焼を順に組み合わせて、一本の軸を回していると考えると分かりやすいでしょう。

この「六つ」は気筒の数です。カムシャフトが二本というツインカム、ターボが二基というツインターボ、総排気量が2リッターという表記は、それぞれ別のことを示しています。

エンジン名に数字とカタカナが並ぶと難しく見えますが、「何が六つ?」「何が二つ?」と一語ずつ尋ねると、カタログが読みやすくなります。

なぜ3リッターにターボを二基付けなかったの?

今回確認できたトヨタの発売資料は、両エンジンの構成を示していますが、ターボの数をその組み合わせにした開発上の理由まで詳しく説明していません。

一般にターボの大きさや数を選ぶ際には、必要な出力だけでなく、排気量、応答、配置、冷却、製造など多くの条件が関係します。したがって「2リッターだから必ず二基必要」「3リッターなら一基で十分」という規則があるわけではありません。

1986年の二車を比べると、1,988ccのツインターボは185PS、2,954ccのターボは230PSです。大きな排気量とターボ一基の組み合わせでも、小さな排気量にターボ二基を備える仕様より高い出力が出ています。数が多いほうが上、と考えるより、排気量と出力を一緒に見るほうが二車の違いをつかめます。

3リッター車は、エンジン以外も見てみる

トヨタの発売資料では、3.0GT TURBOは最高出力230PS/5,600rpm、最大トルク33.0kg-m/4,000rpm。いずれもネット値として記されています。カタログの馬力を別の時代や測定方法の数字と比較するときは、この条件にも注目しましょう。

当時の国内価格表では、3.0GT TURBOは電子制御式オートマチックの設定。一方、2.0GT TWIN TURBOには5速マニュアルがあり、オートマチックも選べました。これは1986年発売時の条件で、後年の仕様を含めた説明ではありません。

足まわりにも特徴があります。トヨタの英文資料によると、当時のスープラは四輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを標準装備。エンジンだけでなく、車輪を支える構造にも目を向けると、同車が目指した性格を読み取れます。

ブレーキは四輪ディスク。前輪は全グレードでベンチレーテッドディスク、後輪の通風式は上級グレードに採用されたとあります。1986年の表記を確認し、後期型の装備や現在の実車の改造状態と混同しないようにしてください。

昔のスープラを調べるとき、どこを見る?

まず、車名だけでなく発売年とグレードを確認します。次に、エンジン型式が1G-GTEUなのか、7M-GTEUなのかを見ます。ターボの数、排気量、ミッションの選択肢まで、そこからたどることができます。

トヨタは1988年の変更で、7M-GTEUと1G-GTEUの出力を向上させたとも発表しています。そのため、1986年の数値をすべての70系に使うことはできません。中古車はエンジン交換や追加装備もあり得るので、現車の確認は専門店と一緒に行いましょう。

1986年のスープラには、同じ直列6気筒でも、二つのターボを備える2リッターと、一つのターボを備える3リッターがありました。今度エンブレムを見るときは、排気量だけでなく、その後ろにどんな過給機の組み合わせがあるかも思い出してみてください。

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