「VTECなのに燃費も狙っていた」。1995年のシビックに搭載された3ステージVTECを見ると、その言葉の意味が分かります。低回転では燃料を抑えながら安定して燃やし、中回転ではトルクを確保し、高回転では出力を伸ばす。ひとつのエンジンで、三つの状況に対応しようとした仕組みです。
対象は、1995年発表のシビック VTiとシビックフェリオ Viに搭載された1.5Lエンジン。D15Bという型式だけで、同名のすべての車が3ステージVTECだとは判断できません。 年式と車種、仕様を一緒に確かめます。
まずは部品の位置を見てみよう
シリンダーの上には、空気を取り込む吸気バルブが二つあります。それを押すためのカムが、1本のカムシャフトに並んでいます。カムとバルブの間で力を伝えるのがロッカーアームです。
このエンジンの吸気側には、形の違う三つのカムと三つのロッカーアームがあり、油圧でアーム同士を連結できるようになっています。三つのカムがあれば自動的に三段階になるわけではなく、油圧による連結の切り換えが肝心です。

低回転:片方は「ほぼ休止」
Hondaの説明では、低回転域は吸気バルブの一方が「ほぼ1バルブ休止状態」。二つが同じように大きく開くのではなく、片側に偏った吸気で燃焼室内に渦をつくり、薄い混合気でも安定して燃やしやすくします。
ここは「片方が完全に動かない」と言い切らないことが大切です。資料は「ほぼ休止」としています。
中回転:二つのバルブを動かす
ECUの信号で一つ目の油圧回路が開くと、二つのロッカーアームが連結。プライマリー側のカムによって、二つの吸気バルブが駆動されます。低回転時とは吸気のさせ方を変え、中速域のトルクを確保する狙いです。

高回転:真ん中のカムが加わる
さらにもう一つの油圧回路が開くと、三つのロッカーアームが連結されます。今度は中央側のカムで二つのバルブを動かし、高回転向けの開閉時期とリフト量に切り換えます。
130馬力と20km/Lは、どの車の数字?
当時のHonda資料は、最高出力130PS/7,000rpm、最大トルク14.2kgm/5,300rpmを記載。燃費はシビックの10・15モードで20km/Lとしています。これらは5速マニュアル車の数値です。燃費は所定の試験条件の値で、今の道路で誰が運転しても達成できる数字とは限りません。
1995年のフェリオ諸元表では、Viのエンジン型式はD15B、車両型式はE-EK3。中古車やエンジン単体を調べる際は、型式だけでなく仕様や交換歴も確認してください。


