丸いボディの初代エスティマを上から眺めると、短いフロントフードの下にエンジンがあるように見えるかもしれません。ところが1990年発売の初代は、エンジンを車室の床下中央に搭載していました。
それでも前のフードには、パワーステアリング用のポンプやファンがあります。離れたエンジンからどう動かすのでしょう。答えは、エンジンの回転を前方に伝える補機駆動用の軸です。
エンジンを75度傾けて床下へ
トヨタの車両解説では、初代エスティマは床の中央部下にエンジンを75度傾けて搭載したと記されています。1990年の発売時に設定されたエンジンは、2,438ccの直列4気筒2TZ-FE。後年にはスーパーチャージャー付きも追加されました。
なぜ傾けたのでしょう。開発を担当した塩見氏の講演では、床下へ収めるためにエンジンをコンパクト化し、75度傾けたと説明しています。エンジンと広い室内を、同じ車体の中に収めるための工夫でした。
では、前のフードにある部品は?
塩見氏は、車両前部のフード内にパワーステアリングのポンプやファンなどを収め、後方からドライブシャフトを介して駆動する構造を紹介しています。
ここでいう軸の仕事は、エンジンの回転を前にある補機へ届けること。補機とは、エンジンや車を動かすために必要な周辺装置のことです。ファンは冷却系に、パワーステアリングのポンプは操舵を助ける装置に関わります。

車輪を回す軸と同じもの?
車の話では「ドライブシャフト」という言葉を、車輪に力を伝える軸について使うこともあります。今回の講演で紹介されているのは、フード内の補機を動かすために、床下から回転を伝える軸です。車輪を駆動する経路と混同しないようにしましょう。
初代エスティマには後輪駆動車と4WD車がありました。補機を前に置く話と、どの車輪を駆動するかの話は分けて考えられます。
点検時に役立つ、位置の考え方
床下にエンジン、前部に補機が分かれていると分かれば、フードを開いてエンジン本体が見当たらなくても不思議ではありません。トヨタの資料と実際の車を見比べる際は、年式や仕様も確かめてください。
開発者の講演では、エンジンオイルの量を確認し、自動で補充するシステムも紹介されています。整備作業や点検箇所は対象車の取扱説明書と整備資料に従いましょう。


